美容クリニックでトラブルが生じた場合にも多くの場合は「まだ弁護士に相談する段階ではない」「院内で対応できるはずだ」と考えがちです。しかし実務上、法的トラブルの多くは、初期段階で専門家が関与していれば“ごく小さな火種のうちに”解消できたにもかかわらず、相談が遅れたために損害拡大・信用失墜・院内混乱へと発展する場合がございます。 弁護士への相談は、「問題が表面化してから」ではなく、「兆候が出始めた時」こそ最も効果的です。
1.弁護士に相談するべき典型事例
・患者とのトラブルの火種が生じたとき(仕上がりの不満を述べる・費用の返還を希望する言動がある・無償でのアフターケアを求めるなど)
・大型あるいは長期にわたる契約の契約書レビュー・新規取引(テナントの賃貸借契約、電子カルテ業者との契約、HP作成の業務委託なども含む)
・労務問題の初期対応(ハラスメント・解雇・出退勤管理・メンタル不調)
・クレーム・口コミ・誹謗中傷対応(風評が広がる前の即時対応)
・事業譲渡の検討
これらはいずれも“初期介入することで手遅れを防げる典型例”です。
2.相談に適したタイミング
・弁護士相談の合図は「トラブル化が明確になった時」ではなく「迷いが生じたとき」です。
たった1つのメッセージ、会話、院内の空気感の変化が、大きな紛争の入口になり得ます。
・また大型のあるいは長期にわたる契約の条件が“なんとなく不利”に感じたときも相談すべきタイミングです
・従業員の言動や表情に違和感があるときには、ハラスメントの存在がある場合や、集団で退職することの予兆の場合がありますので、相談すべきタイミングです。
・レビューサイトやSNSで不穏な投稿が見え始めたときには、すぐに弁護士に相談することをお勧め致します。
3.相談すべき弁護士の探し方
一口に弁護士と言っても、弁護士にはそれぞれ専門があるのが通常です。
専門が異なる弁護士に相談しても効率的な対応は期待できません。
従って、美容クリニックにおいても、美容医療に精通した弁護士を選ぶことが重要です。
美容医療分野における、相談、交渉、訴訟の経験が多い弁護士が良いでしょう。
また、忙しいドクターの皆様の時間に合わせて柔軟に相談時間に対応できるか、WEB、メール、SNS、電話など多くの方法で相談対応できるかどうかも重要なポイントです。
当事務所においては、美容医療分野において、年間100件を超える相談への対応のみならず、訴訟や調停。交渉の手段により、数多くのトラブルを解決に導いております。
また、実情に合わせて、顧問先の場合には相談時間や相談のツールもご要望に合わせて対応しております。
トラブル発生の際には、単発の相談でも弁護士は対応可能なことが通常ですが、それぞれのクリニックの特徴や規模、スタッフの数、集患・集客方法などの違いにより、対応方法にも工夫が必要な場合がございます。
この点、顧問弁護士の場合に賀、クリニックごとの特徴を適格に捉えたうえでのベストな相談・対応を受けることが可能となります
4.顧問弁護士を持つことの価値
弁護士に相談する場合、単発での相談相談は概ね「事後対応」となるのが通常ですが、顧問弁護士は「事前の防波堤」となることができます。継続的な伴走があることで、上記のような「ちょっと不穏」「いつもと違う」という段階でも相談することが可能です。
具体的には顧問弁護士の有無により下記の違いが生じます
| 顧問弁護士なし | 顧問弁護士あり |
|---|---|
| 相談前に社内検討(結果手遅れになることも) 紛争化後の高額コスト “後から慌てて”弁護士探し |
早期検知・担当者から直接連絡・即対応 予防段階で低コスト 信頼関係の中ですぐ相談 |
この違いが、実務では非常に大きなリスク差となります。
5.顧問契約の最大のメリット ― 「迷った瞬間に確認できる安心」
顧問契約の最大の価値は、“相談のハードルがゼロになる”ことです。
「こんなことを法律事務所に聞いていいのか?」と迷う必要がなくなり、問題が小さいうちに対処できます。
またそれぞれの場面に適した情報を共有することで、スピーディな意思決定が可能となり、交渉・契約の整備による紛争予防ができるとともに、社員・取引先への説明力の向上というメリットもございます。
結果として、顧問弁護士による法務対応は「コスト」ではなく、「損失防止と継続成長のための投資」として機能します。
当事務所では、クリニックの規模・業態・相談頻度に応じた柔軟な顧問プランをご用意しています。

