1 クリニックを悩ませる「不動産」「内装」トラブル
美容クリニックの開業においては、医療機器の導入や人材採用に目が向きがちですが、実際には「物件選定」「賃貸借契約」「内装工事」といった基盤部分にこそ多くの法的リスクが潜んでいます。こうした契約関係のトラブルが一度起きると、開院の延期や経営資金の圧迫など、クリニック経営そのものに深刻な影響を及ぼすことがあります。
特に美容クリニックは「医療行為」を行うことや、それに伴い廃棄物処理などが行われること、広告内容やそれにより通院する患者様にも他の医療機関とは異なる特徴があることなどを理由に賃貸人が警戒し、厳格なルールを課すことを求める可能性もあります。
契約締結後にその用途によって賃貸人から苦情を受けたり、周辺テナントとのトラブルが発生しないよう注意する必要もあります。さらに、賃貸借契約書の中には、立ち退き条項や過剰な原状回復義務が盛り込まれていることも多く、これを見逃すと数年での退去を余儀なくされるケースもあります。
更に、あらたな物件に転居しようとしたところ、現在の物件の賃貸人から法外な原状回復費用を請求されて対応に苦慮するといった例もあります。
普通借家契約と定期借家契約の根本的な違いを知らなかったために、契約終了の通知を受領し、大変動揺するというケースも散見されています。
一方、内装工事に関しても注意が必要です。美容医療では、レーザー機器・高周波装置・麻酔設備などの機材を設置するという特徴があり、また極めて高いプライバシー性についても配慮した専門的な施工が求められます。
医療施設の経験が乏しい業者が設計や施工を進めた結果、防音不足や不適切な配電、排気設備の不備などが発覚し、工期遅延・追加請求・瑕疵修補をめぐる紛争に発展することもあります。
2 「予防法務」がクリニックを守る
こうしたリスクは、契約段階での法的チェックによって大幅に減らすことが可能です。顧問弁護士が関与すれば、賃貸借契約において「医療用途可」「中途解約の制限」「原状回復範囲の明確化」「看板設置の可否」など、医療機関の特性を踏まえた交渉・修正が可能になります。
また、内装工事契約においても、仕様書・支払条件・遅延損害金・瑕疵担保条項などを事前に整備することで、トラブル発生時の対応を明確化できます。弁護士が関与していれば、施工不良や契約違反が発覚した場合も、速やかに交渉・損害賠償請求・契約解除などの法的手段を講じることができます。
さらに、顧問契約があることで、開業後のさまざまな法務相談(スタッフの雇用契約、広告規制、個人情報保護、患者クレーム対応など)を気軽に行うことができます。
その中では、賃借物件の賃料の増額請求に対応した交渉、契約更新時における契約内容の交渉などもスムーズな対応が可能です。
弁護士がクリニック経営の全体像を継続的に把握しているため、単発対応ではなく「経営リスクを見据えたアドバイス」を提供できます。
3 顧問弁護士を持つことのメリット
(1) 契約リスクの事前回避
契約書のリーガルチェックにより、不利な条項を除外・修正。開業初期の法的トラブルを予防します。
(2) トラブル発生時の迅速対応
万一の紛争時にも、顧問弁護士が即時に対応し、交渉・法的措置をスムーズに実施します。医師は診療に専念できます。
(3) 継続的な経営サポート
不動産や内装工事に限らず、広告・人事・労務・契約など、日常的な法務相談を定額で行えるため、コストを抑えつつ法的安全性を確保できます。
法律の専門家を「経営パートナー」に
美容医療の世界は、医療法・景表法・個人情報保護法など、複雑な法規制のもとにあります。顧問弁護士は、開業前の準備から運営、そして将来的な事業拡大に至るまで、経営を支える「法務パートナー」としての役割を果たします。
クリニックのブランドを守り、安心して患者様に向き合うためにも、法務体制の整備は欠かせません。私たちは、美容医療業界に精通した経験をもとに、契約リスクの予防と迅速なトラブル解決の両面から、先生方の経営を力強くサポートいたします。
4 当事務所の強み
当事務所においては不動産会社様側の顧問も長く担当している実績や、宅地建物取引士の資格を持つ弁護士が在籍することによって、適切かつ迅速に不動産のトラブルを解決に導くことができます。
お困りの際には是非一度ご相談ください。

