当事務所には数多くのトラブル事例が寄せられますが、事案の解決に向けて対応する中で、契約書や定型書面の不備が多く散見されます。
このような書類を整備することは、トラブルが生じたあとの交渉のみならず、訴訟等においても医療機関にとっては心強い武器となります。
当事務所では、トラブル防止・トラブル解決の両面で有益な契約書・定型書類の作成をお手伝い致します。
(1)説明不足の主張
施術に際しては、事前にリスクなどを説明し同意を得るのが通常ですが、患者から「説明されなかった」などとして、通常のリスクの範囲内と言えるダウンタイムの症状の発症でも「こんな症状があると知っていれば契約しなかった」などという理由で契約金の返還を求められることがあります。
これらの主張にもしっかり対応できるよう、施術の内容やリスク説明の時間を確保し、同意書の記載も抜け落ちがないように定期的に見直しをすることが必要です。
また、説明したことの記録化も工夫が必要です。
当事務所では今までの豊富な経験からこれらについても具体的かつ細やかなアドバイスが可能です。
(2) 強引な勧誘、即日契約の誘導の主張
「今日やらないと手遅れ」「今なら割引」と迫られ、当日契約・施術をしてしまった」、と契約を後悔し、患者が国民生活センターに相談を持ち込む事例も増えています。
このような結果にならないよう、カウンセリング時の契約説明が強引なものや過度に患者の不安をあおるものにならないよう注意をすることが必要です。
また、施術の説明から施術までに十分な考慮の機会を患者に与えることも必要です。
口コミなどでも強引な手法であることが広まることもあり、経営上も決して合理的とはいえない方法です。
(3) モニター契約(広告出演を条件に割引)
顔出しやSNS投稿を条件として割安の価格で施術したものの、後に、クリニックの希望に沿う形でのSNS発信をしてもらえなかったり、後日写真の削除を求められる場合があります。
このような場合の取り決めが、しっかりなされていない事例も散見されますので、事前に内容をしっかり決めた契約書を締結する必要があります。
当事務所では、モニター契約のひな形などの作成もお手伝いいたします。
(4) 料金表示の不透明さの指摘
HP上での表示された記載を総額と思って契約を決めたが、実際には麻酔・薬剤・再診料等が後から加算されており、このような契約をするつもりはなかったとの主張がなされることがあります。
HP上の価格の表示方法や、施術前の料金の説明方法などを定期的にチェックする必要があります。
(5) 解約・返金・違約金(中途解約)
契約書に、あまりにも医療機関側に有利な条項や、患者にとって不利な条項を盛り込むと、消費者契約法によって、そのような取り決め自体の効力が認められなくなることがあります。
契約書のひな形を作成するにあたっては、消費者契約法を念頭に置くことが不可欠です。
当事務所では、消費者契約法の観点も踏まえ、後にトラブルになりにくい契約書のひな形作成のお手伝いを致します。
(6)医療ローン/信販クレジットに関する理解不足
美容医療は高額となることもあるため、ローンを組んで施術を受ける患者も多いところですが、施術が不満でも高額の返済が継続することから患者の不安や不満が生じやすいところです。
医療ローンを使用した場合の総額、手数料の額、支払期間などは誤解の内容に説明し、患者が明確に理解したうえで同意したことを記録に残すことが有用です。
(7) 医師の変更への不満
○○先生に施術してもらえると思っていたのに、当日別の医師が担当した、ということを不満に関し、契約通りの内容ではない、という主張がされるとがあります。
通常は、施術の内容だけが契約の内容となりますが、施術に至るやり取りのなかで、特定の医師が施術することまでが合意の内容に含まれると判断される可能性のある事例も散見されます。
このようなトラブルを防ぐためにも事前の説明や契約書・同意書の記載が重要なポイントとなります。
(8) アフターケア・再施術条件
クリニックの中には、「修正保証」などと患者に説明しているものの、保証する期間や回数、料金の要否等についてしっかりと患者が理解していないことからトラブルになる事例もあります。
アフターケアを約束する場合には、その範囲を明確にし、患者に説明のうえ書面でも明確に記載しておくことが有用です。
(9)個人情報・写真の取り扱い
家族からの求めに応じて施術内容を知らせてしまった。アプリの設定ミスで、他の患者様の情報が見られるようになってしまった、患者様の明確な同意なく写真を掲載してしまった、等のトラブルが生じることが考えられます。
また、事前に同意を得て治療のために撮影した写真でも「保管しないで削除してほしい」などの要望が寄せられることもあります。
医療機関は、患者に個人情報の取り扱いについて説明するとともに、組織内においては、美容医療機関が有する個人情報は極めてプライバシー性の高いものであることを皆で認識し、適正なルールを設ける必要があります。
(10)未成年の扱い
未成年者が年齢を偽って施術を受ける、「保護者の同意を得ている」と偽って施術を受ける、ということで、トラブルとなる事例も発生しています。
美容医療は、特に若い人が中心に興味を持つ一方、保険証による確認を行わないことが一般であることからこのようなトラブルが生じやすいと言えます。
保険証でなくとも身分証による確認や、同意書・親の身分証明となるものの確認など、事前の確認・手続きをマニュアル化しておくことが必要です。
これらのトラブルを防ぐための契約書・定型書類の作成をと事務所ではお手伝いしております。
施術契約書・施術同意書・モニター契約書などの書式全般について気になる点やご心配な点がありましたらお気軽に当事務所にご相談ください。
(11)弁護士に相談するメリット
契約の効果は法律に基づくものであることから、トラブルを検討するにあたっては、法律の知識が必須となります。
美容医療では、患者が、消費生活センターに苦情や相談を持ち込み、クリニックに消費生活センターから連絡が来るような事例も多く生じていいます。
そのような中で、クリニックの締結した契約が適切であったものかを検討するには、民法、消費者契約法、特商法、景品表示法等複数の法律の観点からの検討が必要です。
弁護士に相談することによって、網羅的で確実な検討ができます。
必要に応じて患者や消費生活センターとの間に入って契約トラブルを最終的に解決に導くことも可能です。
また、契約トラブルは事前に防ぐことが最も重要です。使用している契約書のひな形に問題が無いかをチェックする、トラブルを防ぐための患者向けの説明書等のひな形を作成する、なども弁護士がお手伝いすることができます。
(12)契約上のトラブルが生じた場合
契約上のトラブルが生じた場合にはすぐに弁護士にご相談下さい。
契約書の内容や相手の言い分などを聴取し、法律的な観点から、解決に向けた具体的なアドバイスをさせて頂きます。
また、大きなトラブルに発展してしまっている場合には、あっせんや調停、訴訟などの方法を経た解決方法もご提案致します。
(13)契約は法律と密接に関係
契約は法律と密接に関係するため、法律の改正についても把握し、適切に契約書などに反映しなければなりません。
また、同じトラブルが怒らないようにするためにも定期的な契約書のアップデートが必要です。 法律事務所との顧問契約により、法律に適切にし、かつトラブルを未然に防ぐ契約を締結することが可能になります。

